空いてる道で行こう

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何でもレビュー:ユービック(フィリップ・K・ディック)

せっかくの3連休なのに初日から寒波&雪とはね・・(-_-;)

 

 

SF小説では、かなーり有名で人気の作品。

私も好きで、もう何度も繰り返して読んでる気がする・・

 

ーあらすじは、半生命と超能力が確立された未来の地球。

 

半生命とは、たとえ肉体的に死亡しても脳が無事で、安息所で然るべき処置を施せば、死んだ後も再び現世の人間と対話できる仕組みの事。

半生命とて永遠に維持できるわけではないし、無料でもないが、人々はたびたび安息所に行って、残された半生命が完全に無くなるまで死者と話して帰っていく、という世界。

 

一方超能力とは、読心能力、予知能力、賦活能力、念動力、といった力の事で、これを持つ「活性者」が人や企業に雇われ暗躍する。

それらを無効化する反読心能力、反予知能力、反賦活能力、反念動力、といった力を持つ「不活性者」もまた同じように雇われ、人と活性者、不活性者の三すくみの攻防を繰り広げる、という世界。 

 

主人公の能力測定技師:ジョー・チップが所属する反活性者の能力者派遣会社が、とあるビックプロジェクトを依頼され、社長が死んだ奥さん兼経営パートナーと対話し、事件に巻き込まれ、世界が過去に退行する現象に見舞われ、ここは現実なのか半生命の世界なのか超能力の見せる世界なのか、それとも・・急げ!チップ!てな感じの内容だ。

 

ジャンルはSF小説だが、別に理系チックな知識は必要とされず、文章は平易で敷居は低め。読者をぐいぐい引き込んでいく展開の仕方が素晴らしい作品だと思う。

気になった人は是非読んでみてほしい。超おススメ。

 

 

 

※※※以下感想、ネタばれ注意※※※

 

 

 

どんな所にも世界があって、戦いがあって、理屈抜きに自分を助けてくれる力、神の力がある。この小説世界の根幹にあるのはこんな法則じゃないかな。

実際「ユービック」というのは「神の遍在性」みたいな事を表す神学用語?らしいのだが、作中ではまさに言葉の通り、どんな所にも、たとえ半生者の世界にも、絶対的な神の力が現れてくる。 

 

ユービック世界の人間にとっては半生命とは、安息所で覚醒させた時だけ生きていて、何度か覚醒を繰り返すと完全に失われてしまう・・仕方ないね、程度にしか思われていない。

だが半生命達の意識は棺桶の中でじっとしている訳ではないし、自然に消えていく訳でもない。

死んだ彼らにも認識できる世界があって、そこには彼らを食うモンスターのような存在もいて、そいつから自分を守ってくれる神の力ーまあ本作だとただのスプレー缶だけどーがある。

そう、半生命達にも生きてる人間と同じように世界があり、戦いがあり、神がいるのだ。

 

ま、一見すると当たり前なことのようにも思えるが、これを主人公:ジョー・チップの視点を通じてリアルに痛感させてくる部分が、この本の一番面白い所だと思う。

 

まず紙面の1/3くらいを使って、超能力をメインにした偽のプロットをわざわざ展開(笑)

活性者と不活性者、それを取り巻く社会・ビジネス・事件と、これメインでも面白そうな設定を見せて全力で読者の注意を反らしにかかるw

そしてある時点で主人公は肉体的に死ぬのだが、半生命の世界への移行はとてもシームレスで、自分が今いる世界が変わったことに気付かない。

いちおうその世界の不自然な部分に気付くのだが、最初に超能力のプロットを挟んでいることで、主人公も、読者も、果たしてこの異常が半生命になったせいなのか、それとも誰かの超能力のせいなのかが、それが全く分からない。

そして真相がわからないままモンスターとユービックをめぐる戦いに一方的に巻き込まれていく。

 

場面が次々と変わり、とにかく立ち止まらせてくれず、主人公:チップの混乱と疾走感を丸っと味合わせてくれる。

そして何より、「今自分がどこにいるのかがわからなくなる」という体験をさせてくれる、ここがこの作品の面白い所だと思う。

 

ちなみに主人公は最後、自分のいる世界、自分の敵、自分にとっての神:ユービックをしっかり理解し、もう一度生きていく。

明る・・くはないけど前向きなエンドでこのシーンも好き。

 

まあこんな感じでこの「ユービック」は明確に「読み手」を意識した作品といってよいだろう。

そしてこれらをもう一度体験したいがために、何度も読んでしまうのだ。

PKディックの中でも特に人気作なのはこの辺りが理由じゃないかな。

私も今回読み直したけど、やっぱり面白かったです。

ネタばれ読んじゃった人も是非読んでみて欲しい。お勧めします。

 

 

最期にユービック読んだよ!読んだことあるよ!って人は、この小説の「やる夫AA」版を見るのを強くお勧めする。

この小説のゴチャゴチャした部分も視覚情報化されているとわかりやすく、ネタにも溢れ(笑)、非常に読みやすい。

おまけに最初の触りだけ・・なんて中途半端ではなく、この小説を最期まで丸ごとAA化した力作っぷりだ。

是非「 やる夫とやらない夫のユービック」で検索してみてくれ。

 

という訳でレビューは以上。では。